高3夏 「二つのリンゴを描く」 制限時間3時間 美大受験用デッサン |
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- 鉛筆デッサンでタッチを残すべきか、残さないべきか。タッチを残しても巧いデッサンがあるので一概には断定する事ができないが、できるだけ残さない方がより良い。デザイン科の方ではアイディアスケッチの場合は残し、製版原稿の仕上げの場合は残さない。特に工業デザインでは完全に残さない。
- 少し粗く見えるのは、筆致のせいではなく、書き込みの段取り、時間配分ができていないからで、どうすれば良いか。例えば30分で十分正確な輪郭線を描き、光と陰に分け早めに下地を描き出す。残りの2時間で、できるだけ描き込んでゆけば、この2倍精密に描き込める。最後の30分は微調整。
- 空間を出せば、しっかりした絵になるが、迫力が無くなりつまらない絵になる場合もある。このデッサンでは影の調子がべたになっているので、黒鉛が光り出したら練りゴムで叩き、微妙な調子をつくり出さなければならない。
- リンゴの切り口は、同じトーンでは駄目で、上下少しづつ薄い鉛筆4H~8Hで描き込み、抵抗感を付ける。さらに輪郭と皮の切り際が重要で神経を尖らせ何度も描き直す。特に影が粗くて良くない。
- この程度で私立美大に落ちる場合もあるし、合格する大学もある。学科成績が平均90点以上でも、このレベルの競い合いで、不合格になる可能性が高い。採点すると54点。点数は希望する学校レベルによって異なるが、十分に描き込めば巧くなる素質はある。とにかく手数を増やして調子を整え、この2倍描き込めば、実技は合格する。
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高2夏 課題:「鏡の上のリンゴを描く」 制限時間3時間 |
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- 観察しているトーンの通りに描写するのが基本だが、背景が白の場合は、後側にある物体を明るめに描き、コントラストを弱める。それを理解しながら描き、トーンの調整をしているレベル。
- 背景を全て描くと時間がかかるのでリンゴだけにした判断は、良いと思える。
- リンゴの際の面の展開が描けるようになると、一段に良くなる。際は見るだけでは駄目で、かなり神経を尖らせ、輪郭に強弱を付け、何度も描き直さなければならない。
- 上の作品より空間を出そうと頑張り、描き込んでいるので78点。生な黒鉛の状態が抜け、背景処理が少し巧み。
- 東京芸大私立美大合格ライン。消し跡とタッチが無くなるまで丁寧に描き込む。学科が思わしくない場合は、実技でカバーすべきで、完璧に描き込む必要がある。
- 学科と実技は最低ラインがあり、合計点で合否が決められる。きわめてクールで、曖昧な才能などは点数にされない。合格者の最高点96、最低点45、平均67点程度。実技各200点満点、150満点、100点満点等、大学によって異なっている。
- 描き込みを効果的に表す方法として、陰と影、又は下地として綿棒や擦筆(さっぴつ)を使用するとトーンの調子が豊富になる。しかし技法を駆使しても巧くなるわけではない。立体を表現するには柔軟な面の展開を描き分ける事が必要。
- 誰にも才能はあり、コンディションの良し悪しがある。風邪をひいて熱があっても通常以上に描き込まなければならない時もある。最後は集中力。
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鉛筆デッサン「机の上のリンゴ」 制限時間2時間 |
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- ある程度描ける人であれば、練習次第でここまで仕上げられる。擦筆を効果的に使用し、下地と影を磨り潰している。
- 擦筆を使用して鉛筆跡を無くしたためか、質感がよりリアルになった。ただし際の面の展開が描けていないし、リンゴの影の部分の立体感が少し弱い。
- 上のデッサンより迫力に欠けるが輪郭の凸凹がより自然に近いので、90点。さらによくするためには意識的な際への執念が必要。
- 机の上の影のタッチが見えるので、この描法の場合の筆跡は残さない。
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